2年間の潜水調査により、テンジクダイの自然状況下での行動、群れパターンについて明らかにすることができた。実効性比の雌への偏りが、テンジクダイの雌でみられる異常な卵生産(一定の割合で卵黄をもたない卵を生産)を進化させたと考えられるが、雌雄間で行動様式には違いがみられ、特に口内保育に伴う雄の死亡率の上昇が実効性比の雌への偏りを引き起こす主要因となっている可能性が示された。また、合計7種に対し卵巣の組織学的観察を行った結果、同様の卵生産がみられなかったことから、このような卵生産が同科の中で稀な現象であることが確認された。
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