本研究では、篤農技術の普及方法および伝播過程を事例分析することによって、その導入効果を明らかにした。その結果に基づき、今後の東北農業・農村に求められる協同農業普及事業の役割を検討し、従来の対象である農業者はもちろんのこと、地域住民をも含めた中で事業の公共的領域が拡張していく可能性を確認した。また、多様な活動を展開していくためには、異なる普及機関の公・共・私的アクターの連携が求められることを指摘した。さらに、こうした状況下では、お互いが平等な立場かつ自由に未来を語れる環境を整えるというような農業者の相手役が求められることを提起した。
|