本研究の目的は、気候変動とその適応技術による農業、食料関連産業及び複数の地域経済への影響について、緑茶フードシステムを事例に多地域応用一般均衡(CGE)モデルを用いて明らかにすることである。生葉の生産性に対する気象と茶樹の品種多様性の影響を分析した結果、九州において日照時間の長時間化と夏季の異常高温が生産性を下げる気象条件である一方で、品種多様性が間接的な適応策になっていることを明らかにした。そこで、多地域CGEモデル分析によって、九州における異常気象下での茶樹の品種多様性が当地域の生葉生産や製茶業での生産減少だけでなく、地域内の産業構造の変化や他地域への産地移動を抑制することを明らかにした。
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