本研究では、地域における食をめぐる生活環境の悪化を「フードデザート(FDs)問題」と捉え、大都市におけるその実態解明とともに、直売所等を通じた都市農業による食料供給・コミュニティ形成機能が地域の生活環境の改善に与える効果を、GIS(地理情報システム)による空間的解析を通じて定量的に把握した。 横浜市保土ヶ谷区および泉区では、高齢者人口の6割が生鮮食料品へのアクセスに支障をきたしており、またそのうち14~51%の高齢者は直売所を利用することでアクセスが改善するという推計結果となった。都市農業がFDs問題解決に与える効果の検証を通じて,都市部における農業の多面的機能の効果とその意義を明らかにした。
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