研究課題/領域番号 |
25850162
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
図司 直也 法政大学, 現代福祉学部, 教授 (60442563)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 地域サポート人材 / 農山村再生 / 若者移住 / 地域資源管理 / 担い手継承 / 田園回帰 / なりわい |
研究実績の概要 |
本研究では、近年本格化しつつある農山村地域に向かう若者移住の事象に着目し、その持続性と地域資源管理の担い手継承に与える影響を実態調査から考察するものであり、一連の動向を丁寧に把握する必要性から、4年間で全体動向の把握から個別事例の分析までを段階的に進めていく。 4年目に当たる平成28年度は、申請書に記載した<作業①:農山村地域に向かう若者移住に関する概況把握>については、前年度に引き続き、地域サポート人ネットワーク全国協議会が協力する地域おこし協力隊向けの全国研修会や県や市町村ベース(三重県など)で実施する同様の研修会などを通して、各地の実態把握に努めた。 その中から、<作業②:農山村地域に移住した若者の動向調査>について、農山村地域に向かう若者移住の出口部分の事例検討・分析を、地域おこし協力隊の任期中から任期後にかけてのなりわいづくりの実相に着目し、岡山県美作市と新潟県小千谷市で実施した。 さらには、<作業③:農山村地域と若者を繋ぐプログラムの実態調査>について、コーディネート主体への実態調査として、新潟県中越地域で展開する中越防災安全推進機構ムラビト・デザインセンターが実施する「にいがたイナカレッジ」を取り上げ、農山村地域に若者が定着するまでのプロセスデザインの必要性を明らかにした。また、農山村地域側における受け入れ組織への実態調査を、新潟県十日町市・柏崎市、島根県出雲市、宮城県川俣町・丸森町などで実施した。これらの地域の実相から、地域外との交流活動の蓄積が、様々な協働活動に結実し、その先に、サポート人材や移住者の定着をもたらしていく段階を整理することができ、地域資源管理を担う次世代の確保にも実績を生み始めていることが明らかになった。 以上の成果については、政治経済学・経済史学会2016年度秋季学術大会での報告や各所での講演等で公表し、積極的な還元を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4年目は、農山村に向かう若者移住の概況把握について、引き続き、各方面から地域サポート人材に出会う機会を活用して進めるとともに、協力隊事業終了後に、若者移住を本格化させている地域の実態把握を進めながら、本研究の核となる農山村地域における新たななりわいづくりの動向と、地域資源管理の担い手継承の可能性を併せて検討する段階まで達しており、概ね順調に進められている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の対象である地域サポート人材の活動が、地域おこし協力隊の場合でも任期が3年間と長く、また、その多くが20・30代の若者であることから、ライフステージの変化もあり、農山村地域への若者移住効果の発現とその持続性の検討については、研究遂行上、実証作業を残している部分がある。精緻な最終研究成果を得るためにも、引き続き、継続的な実証研究を重ねていく所存である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が学内の多摩地域交流センター長に就き、大学周辺の連携活動に時間を割かれ、遠方での調査に制約があった。また、本研究対象である地域サポート人材の活動は任期が複数年に及び、農山村地域への若者移住効果の発現は、任期後に及ぶため、研究遂行上の実証作業を残しているため。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の理由から、地域サポート人材の任期後の動向、また若者世代のライフステージとの関連性を踏まえた追加の実態調査を行うための旅費や必要となる消耗品の購入に有効に活用し、精緻な最終研究成果を得たい。
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