研究課題/領域番号 |
25850164
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
中島 正裕 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80436675)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 農地保全 / 内発的発展 / 合意形成 / ネットワーク分析 |
研究実績の概要 |
2014年度は地域A(実践支援、社会実験)と地域B(先進地域の事例分析)において以下のとおり、調査と実践支援を実施した。 1 地域A(長野県富士見町、群馬県みなかみ町) 農地所有者(含:不在地主、土地持ち非農家)への意向調査(相続、貸借など30項目)、耕作放棄地、管理のみ農地の土壌物理性及び植生の診断を実施した。これらの結果に基づき、対象農地の現況をWeb-GISにより住民が簡易に把握できるシステムを開発するためのデータベースを構築した。また、みなかみ町においてインバウンドツーリズムで来訪した外国人の農地に対する評価分析を実施した。両地区で地域住民、行政担当者、農業委員会を対象とした成果報告会を兼ねた座談会を開催した。そのなかで、保全すべき農地の明確化、獣害に強い農地管理方法について住民の意向の把握、地区単位での獣害対策の必要性の啓発を行なった。 2 地域B(島根県美郷町、新潟県十日町市、山形県) 1年目に定性的に把握した地元住民と新規参入者の社会関係構造をより客観的に把握するため個人レベルでの人的ネットワーク実態を定量的・視覚的に再現した(美郷町、十日町)。分析のソフトウェアは[UCINET]を用いて,次数,構造同値,中心性,空隙といった指標を用いて評価した。そのうえで、地元住民が外来者との協働体制を築き人的ネットワークを拡張させていく上での要素(仲介役、キーパーソンの役割など)を析出した。さらに、地区内部に重層する伝統的社会関係や個人のフォーマル・インフォーマルな関係に焦点をあてながら、住民の内発力向上の要因、内発的農地保全に向けた新規の有志組織の設立方法、及び有志組織と行政・町内組織との連携の手順を事例ごとに分析した。 外部人材事業における先進地事例でのさらなる情報収集のために、地域おこし協力隊事業を積極的に導入している、山形県全体の概況を把握した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「内発的地域づくりを支援するワークショップ手法」(筆者らが開発した)を援用し,住民による地区の特徴・課題の構造的整理と農地保全のアイディア創出・評価を行う、という実践は2年目に予定していたが、行政、地域住民との話し合いの結果、3年目に実施することになった。
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今後の研究の推進方策 |
2年目の成果を踏まえて、3年目も地域住民や行政職員との密な連携を図りながら、研究計画に沿って調査と実践支援を遂行していく予定である
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