竹破砕物を農地に投入した影響(収量,環境負荷,成分分析)を調査するため,2015年6月から10月まで弘前大学内で飼料用米のポット栽培実験を行った.1/2000aワグネルポットを用い,施肥量を通常と多肥,灌漑を湛水と間断,竹破砕物の有無と合わせて8通り設定した.同処理ポットを3個ずつ用意,施肥を田植え前と中干後に化成肥料(N:14,P14,K:14)を,10kg/10aを通常,その1.5倍を多肥として行った.竹破砕物は5gを投入した. 収量:玄米重,草丈,総質量の結果から多肥・湛水区で最も生育が良く,湛水区と間断灌漑区の間に有意差が見られ,湛水区で生育が良好であった.竹破砕物の有無で有意差は見られなかった. 環境負荷:竹破砕物の有無で有意差は見られなかった.窒素の流出は中干し時と間断灌漑時に発生するため,湛水区で流出負荷量が小さくなった.リンは土壌に吸着されたと考えられ,流出はほとんどなかった. 成分分析:竹破砕物の有無でカリウム含有率が有意に低下したが,リンやケイ素など他の成分では竹破砕物の有無で有意差は見られなかった. 【期間全体】竹破砕物の養液栽培培地利用の実現を目指し,土壌物理試験および栽培実験を行った.竹破砕物は高い保水性を有し,飽和透水係数はロックウール(RW)と同等を示し,培地利用できる可能性が示された.さらに,乾燥により保水性が増加することが明らかになった.トマト栽培実験の結果,竹培地ではRW培地と同様の水分消費を示し,茎・葉・果実においても生育への影響は見られなかった.カリウムの肥料効果により竹培地で品質が向上したと推測された.イチゴの栽培試験の結果,イチゴの生長や収量は,乾燥させた竹破砕物培地とRW培地間で有意差が見られず同等の生育を示した.この結果は竹破砕物の養液栽培培地利用の実現に貢献し,放置竹林の解消,さらには循環型社会へ寄与できると考えられる.
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