研究課題/領域番号 |
25850169
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
竹下 伸一 宮崎大学, 農学部, 准教授 (40381058)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 棚田 / シンチレーション法 / 稲 |
研究概要 |
近年,夏期の気温上昇による稲の高温登熟障害が各地で問題となっており,様々な対策がされている.その中で,中山間地の傾斜地水田,いわゆる棚田が,その低温で,寒暖差の大きな気象環境が,高温登熟障害の軽減に寄与しているのではないかとの注目されている.しかしながら,その耕作環境についてとくに熱収支的な評価はあまりされてこなかった.従来の観測機器では困難な棚田の熱収支的な評価を,シンチレーション法によって詳細に検討することが本研究の目的である. 初年度であるH25年度は,研究対象地の棚田内にて集中観測圃場を設置し,気温や風などの詳細な気象観測を実施した.また,シンチレーション法による試験的な乱流変動の観測を行った.併せて比較のために平地での均一な水田面上でシンチレーション法による乱流の計測を行った.その結果,均一な水田面上では,安定して顕熱を計測することができ,稲の生育ステージによって乱流特性の現れ方に違いが現れることがわかった.とくに摩擦速度や摩擦温度に,生育ステージによる違いが顕著に見られることがわかった.一方で,棚田における観測では,観測値が安定せず,これらの乱流特性の抽出が難しかった.時間帯によって,値のばらつきに特徴が見られたため,このばらつきの特性を詳細に解析していくことが棚田の熱環境を把握するために重要であることが推察された. 加えてH25年度は水不足であったため,とくに棚田では圃場内でも水深にムラが生じ,これが生育に影響を与えていた.収穫された米品質を調査したところ水不足の有無による品質の違いが見られたため,熱特性に加え,水特性にも注視していくことが重要であることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は限られた研究費を考慮した上で,優先的に熱特性に関する観測,研究を重点に置いたため,水特性に関する観測・研究がやや不十分であった. また,山間地のために電源の確保に苦慮したため,一部十分な観測が行えないことがあった.しかし,棚田内にて,当初予定したとおりの観測を初年度から開始することができ,また比較対象地でも同様の観測ができたこと,収穫後の品質検査等も十分に実施できた.
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今後の研究の推進方策 |
2年目も初年度同様の気象・熱特性の観測を実施していくことに加え,初年度十分に実施することができなかった水特性に関する観測を追加して実施していく. 加えて,当初計画通り,日射環境の観測を行い,傾斜地水田群としての気象・熱特性について検討していく.
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