研究課題/領域番号 |
25850169
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
竹下 伸一 宮崎大学, 農学部, 准教授 (40381058)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 日射量分布 / 稲 |
研究実績の概要 |
近年,夏期の気温上昇による稲の高温登熟障害が各地で問題となっており,様々な対策がされている.その中で,中山間地の傾斜地水田,いわゆる棚田が,その低温で,寒暖差の大きな気象環境が,高温登熟障害の軽減に寄与しているのではないかとの注目されている.しかしながら,その耕作環境についてとくに熱収支的な評価はあまりされてこなかった.従来の観測機器では困難な棚田の熱収支的な評価を,シンチレーション法によって詳細に検討することが本研究の目的である. 本年度は,前年度と同じ研究対象地内の集中観測圃場にて,気象観測および,シンチレーション法による乱流変動の観測を行った.さらに本年度は,傾斜地水田郡内の詳細な日射量分布を明らかにするために,7月から10月まで多地点で日射量を観測した.日射量の観測には,容器内の水温から日射量を推定する簡易日射計を利用した.あらかじめ宮崎大学構内にて簡易日射計の実証試験を行ったところ十分な精度で日射量を計測できることを確認した.観測の結果,月によって対象地内の日射量の強弱が変わることが明らかとなった.しかし,稲の登熟期に当たる9月の日射量に位置的な差異がなく,これが稲の収量等が位置によってほとんど変わらないことの大きな要因であることが推察された. しかし,26年度は夏期,とくに8月の日照時間が短かったため,十分に検討できて異なところがある.次年度も引き続き観測を行い,最終年度に向けて成果をまとめていく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,田植え直後から観測機器を現地に設置することができ,概ね計画通りの観測ができた.しかし,天候不順により8月の日射量については十分なデータが得られていない. 稲の収量・品質検査も初年度よりも多くの地点で実施することができたため,熱・水特性と稲の生育との関連性の分析も概ね計画通りに実行できた.
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今後の研究の推進方策 |
3年目も同様の気象・熱特性の観測を実施していくことに加え,天候不純のため十分なデータを取得できなかった夏期についての観測値を蓄積していく. 稲の収量・品質検査地点もさらに増やして,さまざまな要因とのクロス分析を行い,最終年度の成果をまとめていく.
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