研究課題/領域番号 |
25850175
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
深見 公一郎 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター・水田作・園芸研究領域, 主任研究員 (50399424)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 水稲乾田直播 / 透水性制御 / 振動式鎮圧ローラ / 振動加速度 / 土壌構造 |
研究概要 |
イネ-ムギ,ダイズ-ムギの2年4作体系が展開される九州地域において,より低コストかつ省力的な栽培方法である水稲乾田直播栽培を導入・拡大させるためには,水稲作付時における漏水の防止が必須の課題となっている。本研究では,一般的に普及している小型・中型トラクタでの作業が可能な振動ローラの加速度応答特性と鎮圧に伴って変化する土壌構造との力学的な相互関係をモデル化することにより,水稲乾田直播栽培における漏水防止を目的とした鎮圧作業の効率化と最適化を図る。 本年度は,①~③の項目について検討した。以下の方法を示す。①鎮圧試験:九州沖縄農業研究センター内の水田輪作圃場において,振動ローラを用いた鎮圧試験を実施した。鎮圧条件は,鎮圧作業速度と鎮圧回数を変化させた。土壌水分は,試験時期を調整することで,低水分から高水分までの条件を設定した。鎮圧試験時の振動加速度応答は,ローラの振動発生部上面に取り付けたMEMS加速度センサを用いて測定した。②加速度応答解析:MEMS加速度センサより得られた加速度応答波形は,周波数解析ソフトを用いてスペクトル分布に変換し,鎮圧に伴う応答波形の変化を解析した。③土壌構造解析:土壌構造の測定には,熊本大学所有のマイクロフォーカスX線CTスキャナを利用した。土壌のサンプリングには,電動サンプラを使用し,PVC製透明円筒(φ50mm×L300mm)に採取・調整後,本装置を用いて3次元X線CT画像を取得した。 試験の結果,(1) 振動ローラのZ(上下)方向における振動加速度は,PTO軸回転数と機械のピッチングが主要因であること。(2) 振動加速度(Z方向)の振幅値が大きい時,日減水深が有意(1%水準)に小さくなること(3)X線CT画像から,日減水深の差による土壌構造の定性的な差が確認できること等が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
圃場試験により,振動ローラの加速度応答,土壌構造および圃場透水性の相互作用を概ね把握できた。
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今後の研究の推進方策 |
振動鎮圧に関する実験データの蓄積・解析を進めるとともに,加速度応答から鎮圧状況を推定する方法について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
画像解析専用PCの購入費と土壌構造解析に要する費用を抑えることができたため。 振動ローラによる圃場試験,栽培試験,加速度応答解析,土壌構造解析,研究発表および論文投稿に要する費用として使用する。
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