研究課題/領域番号 |
25850180
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
松尾 守展 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所 家畜飼養技術研究領域, 主任研究員 (70355113)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 粗飼料 / ロールベール / 水分 / マイクロ波 |
研究概要 |
国内で生産される飼料の多くは中~高水分のままロールベールサイレージとして保管されるが、収穫調製時の天候や作業条件等により水分ムラが大きくなる。しかし、測定には長時間を要するほかサンプリングを伴うため、ラッピング後のロールベールを測定すると商品価値を失う問題がある。 そこで、マイクロ波を活用したロールベール非破壊計測技術を開発するため、本年度は開放空間においてマイクロ波をロールベールに向けて送信し、受信されたマイクロ波の観測を行なった。測定対象には、ターンテーブル上に静置された直径0.9~1.2mのロールベール(水分20~80%,内容物:オーチャードグラス・細断トウモロコシ・TMR)を用い、供試した周波数帯は1~25GHzとした。測定にはベクトルネットワークアナライザおよびリッジホーンアンテナを用いた。 周波数とマイクロ波の減衰量との関係を解析したところ、ロールベールを構成する原料層やサイドローブに起因すると思われる反射波による受信電波の脈動が認められた。また、草種・水分によらず、周波数が高まるにつれて透過減衰は顕著に高まる傾向が確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ネットワークアナライザを一時レンタルする都合との兼ね合いで、想定したほど多点の測定ができなかったが、10GHzを越えると顕著に損失が高まる傾向が得られる等、有望な周波数帯域について一定範囲での絞り込みができた。得られた結果については次年度に学会発表するとともに論文作成の準備を進める。
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今後の研究の推進方策 |
開放空間での測定では不要波が多く観測されたことから、電波暗室を用いた測定ないしは導波管を用いた室内測定実験により、牧草類を対象とした電磁波解析に取り組むとともに非破壊計測のための基礎データを積み上げることとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の測定実験においては、アンテナの精密な対向を行なわなくても電磁波の解析が可能なダイナミックレンジを確保できたため、アンテナを精密に対向させるための測定台座を試作する必要がなくなったため、若干の残額が生じた。 次年度に向けては電波暗室を借用した測定もしくは導波管を活用した室内実験を行ない水分との関係を解析することとする。これは、今年度の測定結果から、ロールベールのように梱包された粗飼料にマイクロ波を透過させた場合には多くの反射の影響とみられる波形の変動が観測され、この現象の解析をさらに深めるためである。
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