研究課題/領域番号 |
25850185
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松田 洋和 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (30597810)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | QTL候補遺伝子 / 発現QTL / 黒毛和種 / 飼料利用性 / 遺伝子ネットワーク |
研究実績の概要 |
ArrayExpress(http://www.ebi.ac.uk/arrayexpress/)におけるE-MTAB-88データセットから約200個体のヘテロストックマウスに関する肝臓と肺の遺伝子発現データを得た。ここで得られた約2万の遺伝子発現値に対してQTL解析を実施し、各組織における発現QTL情報を取得し、新たなQTL候補遺伝子探索のリソースを開発した。 ウシについて、15の組織における18,127遺伝子の発現に関する組織特異性の情報、GeneOntology(http://geneontology.org/)における遺伝子の機能情報およびCattleQTLdb(http://www.animalgenome.org/cgi-bin/QTLdb/BT/index)における既報のQTL情報を統合した候補遺伝子探索システムを構築した。統合したシステムの有効性を検証する目的で、黒毛和種直接検定牛の飼料利用性関連形質の実データによる検討を実施した。黒毛和種データから推定された遺伝子ネットワークから、本システムを用いてQTL候補遺伝子を効率的に抽出することができた。また、これらの候補遺伝子中にはマウスで飼料摂取に関わることが知られている複数の遺伝子が含まれるなど、本システムの正確性も示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は、マウスの遺伝子発現データに対するQTL解析を実施して、候補遺伝子探索のための新たなリソースを追加する一方、ウシを対象として複数の情報を統合した候補遺伝子探索システムを構築した。また、この候補遺伝子探索システムに関する有用性を黒毛和種の実データにより検証したところ概して良好な結果が得られ、とくに正確性についても高いことが確認できた。マウスにおけるリソースの追加は計画外のものであるが、他の生物種では得られない非常に貴重な情報であるため優先的に取り組んだ。そのため、ブタにおける候補遺伝子探索システムの整備と描画に関わるインターフェースの構築が遅れる結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
ブタの様々な組織における発現データを利用して、マウスおよびウシと同様な候補遺伝子探索システムの開発を実施する。次に、異なる生物種のシステムを遺伝子間の相同性に基づく対応付けを通じて統合し、情報の網羅性を高める。また、生物種の組み合わせによって既報の形質関連遺伝子の順位付けの変化について検討することにより、候補遺伝子選択の頑健性の確認も行う。 複数の生物種における情報を統合した候補遺伝子探索システムを、形質-組織-遺伝子機能-遺伝子間の関連性についてHeat Map、ネットワーク図、ゲノムビューア等により概観しつつ利用するためのインターフェースを構築し、これをWeb上から実施可能にする。
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次年度使用額が生じた理由 |
「次年度使用額」の約40万円は、平成26年度に実施予定であったブタQTL候補遺伝子探索システムと描画に関わるインターフェースの構築が遅れたため、これに関わる人件費・謝金を平成27年度に充てる必要性が生じたことに依る。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度には、平成26年度に実施した各生物種の分析結果を統合したシステムの開発およびWeb上でのシステムの公開のために必要なインターフェースの構築の準備を予定しており、合計で130万円の研究費を使用する。平成26年度に分析予定であったブタデータのエディットおよび分析用の計算プログラム作成補助、さらにインターフェースの構築に関わる人件費・謝金に「次年度使用額」の40万円を含めた62万円を充てる。また、研究成果の学会発表等のための旅費として30万円、学術論文の印刷および投稿料等に関わる消耗品費・その他に合わせて38万円を充てる予定である。
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