研究課題/領域番号 |
25850188
|
研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
白石 純一 日本獣医生命科学大学, 公私立大学の部局等, 助教 (50632345)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 脳キメラ鶏 / 初期発育 / ミトコンドリア産生 / 熱産生 / 筋形成 |
研究実績の概要 |
初期発育期における脳と体のエネルギー代謝ネットワークを理解するために、成長速度が大きく異なる肉用鶏(Broiler: B)と卵用鶏(Layer: L)の脳と体を相互に組み換えた脳キメラ鶏を作出し、代償的代謝応答の抽出を試みた。本年度は、脳キメラ鶏特異的にみられる代謝調節機構と熱産生関連因子および筋形成関連因子の関連について検討した。 孵化後11日における脳キメラ鶏の熱産生関連因子、ミトコンドリア産生関連因子および筋タンパク質制御因子のmRNA発現量をquantitative PCR法によって相対定量し、比較した。 浅胸筋および大腿筋におけるavUCP(avian uncoupling protein)mRNA発現量は、 LL(脳:L×体:L)、BL(脳:B×体:L)に比べBB(脳:B×体:B)のものが低く、TFAM(mitocondrial transcription factor A)mRNA発現量はBBのものが最も高かった。筋形成制御因子についてみると、浅胸筋におけるAtrogin-1 mRNA発現量はBBのものがLL、BLのものに比べて低く、大腿筋では、BB、BLのものがLLより低くかった。 以上のことから、この時期のBBは、骨格筋における活発なミトコンドリア産生を行う一方で、筋タンパク質分解および熱産生を抑制的に調節し、著しい成長を獲得しているものと考察された。またBLの大腿筋においてもBBと類似したmRNA発現量であったことからも、この違いはその後の成長に反映しているものと推察された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
移植技術の習熟および胚発生段階の孵卵環境を検討し、移植成功率を高める必要があると考えられた。しかしながら、誕生した脳キメラ鶏の表現形質は、幼雛期のエネルギー代謝調節機構を理解するうえで、大変興味深いデータである。したがって、当該研究を引き続き、遂行することによって、多くの成果が挙げられるものと考えられた。
|
今後の研究の推進方策 |
代償的代謝応答と脳機能因子の関連については、すでにオミクス解析を用いた検討を加えている。今後はそれらに関する解析データを整理するとともに、初期発育との関連について調査する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
外部委託するサンプルの調整不備を理由に、本年度の解析(納品)が難しくなり、委託解析を次年度に変更したため。
|
次年度使用額の使用計画 |
委託解析費用および得られた結果の評価解析費用に使用する。
|