本研究は、脳原基移植技術を用いて初期発育における脳と末梢器官の代謝情報ネットワークの関連性について調査することを目的とした。具体的には初期の成長速度および代謝制御機構が大きく異なる商用鶏(BroilerおよびLayer)を用いて、本来の脳と末梢器官の組み合わせと異なる脳キメラ鶏を作出し、その代償的代謝制御因子の抽出を試みた。誕生した脳キメラ鶏は、脳と末梢器官の組み合わせによって幼雛期の摂食量、増体量、代謝器官重量および代謝調節因子がそれぞれで異なることが明らかとなった。さらに、視床下部においては、糖代謝、アミノ酸代謝、免疫応答に関連する因子などが代償的に機能している可能性が示唆された。
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