研究課題
本研究ではニワトリに悪性リンパ腫をひき起こすマレック病(MD)に対する新規ワクチン開発を行った。MDには弱毒生ワクチンが使用されているが、マレック病ウイルス(MDV)は病原性が増強する傾向にあり、より効果の高い抗MDワクチンの開発が求められる。そこで、免疫応答の調節(免疫抑制機構)に関与するProgrammed death-1 (PD-1) とProgrammed death-ligand 1 (PD-L1) の結合を阻害させ、既存のワクチンより高い免疫誘導能を有するワクチン作製を目指した。昨年度は、MDV強毒株(RB1B株)のmeq遺伝子をPD-1遺伝子細胞外領域とウサギ免疫グロブリンの定常部と連結させた PD-1-Ig、およびPD-1遺伝子全長にmycエピトープタグを付加させたPD-1-mycと置換させ、組換えワクチンを作製した。今年度は、作製した抗MD組換えワクチン(PD-1-IgおよびPD-1-myc)と既存のワクチン(CVI988)との性状を比較した。まず、再生した各組換えワクチンにおけるPD-1の発現を確認した。次いでそれぞれのワクチンのin vitroにおける増殖能について検討を行ったところ、どのワクチンにも差は認められなかった。以上より、作製した組換えワクチンはPD-1を産生し、組換えMDV自体の増殖に影響は無いと考えられた。次に初生ヒナに各組換えワクチン、CVI988、強毒株を接種し、末梢血より経時的にウイルスゲノムを定量した結果、強毒株のみが検出され、CVI988および各組換えワクチンゲノムは検出されなかった。ワクチン接種後56日目に末梢血単核球を採取しMDV抗原で刺激したところ、PD-1-Ig接種鶏においてサイトカイン産生能が高くなる傾向が見られた。このことよりPD-1-Igについては、効率の良い細胞性免疫誘導能を持つことが期待された。今後、より詳細なウイルス動態やサイトカイン発現解析を検討し、MDVに対する予防効果を既存のワクチンと比べ、将来的なウイルスベクターとして応用可能か評価する必要がある。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (15件)
J Vet Med Sci.
巻: In press ページ: In press
Insect Biochem Mol Biol.
巻: 19 ページ: 59-67
10.1016/j.ibmb.2015.01.010.
Vet Immunol Immunopathol
巻: 15 ページ: 115-124
10.1016/j.vetimm.2014.10.006.
PLoS One.
巻: 10 ページ: e98415
10.1371/journal.pone.0098415. eCollection 2014.
Microbiol Immunol.
巻: 58 ページ: 388-397
10.1111/1348-0421.12160.
J Gen Virol.
巻: 95 ページ: 1832-1842
10.1099/vir.0.065011-0.
Vet Parasitol.
巻: 28 ページ: 180-193
10.1016/j.vetpar.2014.02.056.
酪農ジャーナル
巻: 67 ページ: 29-31