平成27年度は前年度B. bovisメロゾイト細胞質内カルシウムイオン濃度[Ca2+]の動態を観察する目的で作出したYellow cameleon-Nano (YCnano50)発現B. bovisを用いてイメージング解析を行った。YCnano50発現原虫のin vitro培養感染血にカルシウムイオノフォアA23187を投与しタイムラプスイメージング解析を行ったところ、細胞質内[Ca2+]の上昇を示すYFP/CFP比の上昇が観測され、その後原虫の遊出が観察された。よって、A23187による原虫細胞質[Ca2+]の一過性の上昇がB. bovisメロゾイトの赤血球からの遊出を誘導したことが示唆された。また、薬剤非添加時のメロゾイト遊出についても解析を行い、原虫遊出直前に細胞質内[Ca2+]が上昇するデータが得られた。さらに、B. bovisゲノムについて原虫の滑走運動や侵入に関わる可能性のある遺伝子を解析した所、BBOV_I002740についてもTSRドメインを有するTRAPファミリー遺伝子であることが判明し、同遺伝子のノックアウトを含めた詳細な解析を進める予定である。
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