研究課題
若手研究(B)
本年度は、正常な心房の薬剤に対する反応性を知るために正常ビーグル犬6頭に対して、交感神経刺激剤であるドブタミン、交感神経β受容体遮断薬であるエスモロール、PDE3阻害剤であるミルリノンを投与し、投与前後での心エコー図検査指標の変動を評価した。評価項目としては、従来の心室機能検査指標である組織ドプラを用いた心室中隔側僧帽弁輪部の左室収縮波速度(S’)と左室拡張能指標である心室中隔側僧帽弁輪部の左室拡張早期波速度(E’)を測定するとともに、今回の主眼である心房機能解析として、心房拡張の指標である総左心房面積減少率(LA-FACtotal)、心房の受動的収縮指標である受動的左心房断面積減少率(LA-FACpass)、心房の能動的収縮力指標である能動的左心房断面積減少率(LA-FACact)を計測した。その結果、ドブタミンならびにミルリノン投与すなわちいわゆる強心剤に対して、心房は心室と同様に正の方向へ反応することが明らかとなった。特に心室とは独立した指標であると考えられる能動的収縮能指標LA-FACactが増大したことは、心房自体の収縮が増強されることを示すものである。エスモロール投与すなわち交感神経抑制に対しては、心室が負の方向へ反応する一方で、心房機能については受動的収縮能LA-FACpassが減少した以外には変化が認められなかった。これは、心房が交感神経抑制に対しては心室と異なる反応を示すか、あるいは抑制された心室機能に対して何らかの機構による代償反応が働き心房機能が保持されている可能性を示していると考えられた。
3: やや遅れている
薬剤の輸入が困難であったため、使用薬剤の変更を余儀なくされた。また、心臓カテーテル検査を実施するための設備整備が当初予定よりも遅延したため、同検査の実施数が非常に少なく、心エコー図検査指標との比較が実施できていない。
今年度に入り心臓カテーテル検査の実施が可能となったため速やかに薬剤負荷モデルでの検討を遂行し、次の段階である僧帽弁逆流モデルの作成を実施する。
初年度中に心臓カテーテル検査を実施する設備整備が完了しなかったため、心臓カテーテル検査が実施できず、その分余剰金が生じた。本年度から心臓カテーテル検査が可能となったため、実施する予定である。
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