本研究では、犬の左心房機能について、1.正常時に有する容量負荷への反応性、2.正常時に有する薬剤への反応性、3.疾患時における変化、について評価した。その結果、左心房は負荷や薬剤の影響によってその機能が通常の倍以上に変化する程の潜在能力を秘めている事が明らかとなった。疾患時にはこの潜在能力を発揮することで初期にはその機能が上昇するものの、より重度になるにつれ徐々に機能は減弱し、一定の限界を超えると死に至ることが明らかとなった。このように、左心房は疾患時にその力を発揮する「最後の砦」とも言える働きを有しているのかもしれない。
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