本研究では犬の自然発症した脊髄損傷症例へ鼻粘膜由来幹細胞ならびに嗅神経鞘細胞を同時移植し、その有用性を評価することを最終目的とし、犬の鼻粘膜から幹細胞ならびに嗅神経鞘細胞の抽出を試みた。結果は経鼻腔内視鏡を用いて移植に必要な細胞を採取することは可能であったが、一部の犬で培養細胞中に鼻粘膜由来細菌の感染が認められたため、安全面から移植材料としてはさらなる検討が必要であると考えられた。そこで安全性や利便性が保障されている脱分化脂肪細胞(DFAT)を用いて脊髄損傷モデルマウスへの移植を実施し、その有用性と安全性を評価した。結果、DFAT移植群ではコントロール群と比較して有意に歩行機能が改善した。
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