研究課題
筋特異的脱アミノ化酵素APOBEC2を欠損すると、筋萎縮や筋疾患、筋線維型の変化が起こる。初年度(平成25年度)の研究計画では、APOBEC2欠損による表現型の変化がオートファジーの亢進によるものか追求した。その結果、APOBEC2欠損マウスの骨格筋でオートファジーまたはマイトファジー(ミトコンドリアのオートファジー)が亢進していることを、各種マーカー分子の測定から確認した。一方で、野生型とAPOBEC2欠損型でmtDNAコピー数に有意な差はみられなかったことから、最終年度(平成26年度)では、オートファジーのシグナル伝達経路、翻訳後修飾およびミトコンドリアの機能に着目して研究を進めることにした。まず、オートファジー制御の主要な経路であるmTORのリン酸化を定量したが、野生型とAPOBEC2欠損型で大きな変化は見られなかった。次に、APOBEC2欠損マウス骨格筋中の代謝産物を測定するためメタボローム解析を行い、約100種の代謝産物を定量した。その結果、TCA回路の一部の代謝産物のみ、野生型とAPOBEC2欠損型で有意な差が認められた。近年、ミトコンドリアの一部の代謝産物がオートファジーを制御することが報告されたことから(Mario, Mol Cell, 2014)、APOBEC2欠損筋で観察されたオートファジーの亢進は、TCA回路の代謝産物の異常に起因する可能性が考えられる。現在、APOBEC2によるミトコンドリアの代謝制御について、解析中である。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)
Animal Science Journal
巻: 86 ページ: 194-199
10.1111/asj.12257.
International Journal of Biochemistry & Cell Biology
巻: 54 ページ: 272-285
0.1016/j.biocel.2014.05.032.
http://researchmap.jp/muscle