妊娠は半異物である胎児を許容する免疫寛容である。それが破綻した場合に炎症反応による胎盤機能不全が誘発され妊娠高血圧症候群が発症すると考えられる。本研究では、妊娠マウスにAngiotensin II(AII)を含んだポンプを埋め込んだ。AIIを投与すると、母体血圧が増加するだけではなく、胎盤内炎症性サイトカインIL-6の増加、胎仔低体重が見られた。インフラマソーム構成分子NLRP3欠損妊娠マウスにAIIを投与すると、母体血圧増加とIL-6の増加が抑制されたが、胎仔低体重には影響しなかった。つまり、NLRP3分子は母体血圧調節に関与するが、AII誘導性の胎仔低体重には非依存的であることが分かった。
|