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2013 年度 実施状況報告書

精細管内移植後におけるマウス精子形成幹細胞のホーミング機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 25850224
研究種目

若手研究(B)

研究機関基礎生物学研究所

研究代表者

中村 隼明  基礎生物学研究所, 生殖細胞研究部門, NIBBリサーチフェロー (30613723)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード幹細胞 / ホーミング / 精子形成
研究概要

精子形成幹細胞は、自己複製と分化細胞を供給することにより、繁殖期を通して大量の精子をつくり続ける。1994年にマウスにおいて精子幹細胞の移植法が開発されたことにより、精子幹細胞は畜産動物の遺伝資源の保存や遺伝子改変のみならず、ヒトにおける男性不妊治療への応用が期待されている。しかし、移植した精子形成幹細胞のうち精子形成コロニーをつくる割合は、3,000~10,000個に1個と非常に低く、これが実用化を阻んでいる。そこで、本研究は精子形成幹細胞の移植効率の向上を図ることを最終的な目的として、宿主マウス精細管内に移植した精子形成幹細胞が、内腔から血液精巣関門を通過し、本来存在する基底膜上に移動するホーミングの仕組みの解明に取り組んでいる。
平成25年度は、マウス精巣内ライブイメージング法を用いてドナー精子形成幹細胞のホーミングの連続観察を実施した。蛍光色素にて標識した培養精子形成幹細胞であるGS細胞(= Germline Stem cells)を精子形成不全マウスの精細管内に移植し、移植直後から約3日間連続観察した。その結果、ドナー精子形成幹細胞が宿主精細管の内腔にて仮足を伸ばして活発に遊走する様子が観察された。これにより、精子形成幹細胞のホーミングには、幹細胞自身の能動的な移動が関与していることが明らかとなった。先行研究において、精子形成幹細胞のホーミングに関わる分子がいくつか同定されてたのみで、細胞レベルでの振る舞いについては未解のままであった。本研究は、生きた状態の精巣内においてドナー精子形成幹細胞のホーミングを連続観察することにより、精子形成幹細胞のホーミングのプロセスを細胞レベルで明らかにした最初の研究である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ライブイメージングによるホーミングプロセスの連続観察では、ドナー精子形成幹細胞の挙動と、宿主マウス精細管内の血液精巣関門の挙動を同時に解析する予定であった。前述したように、ドナー精子形成幹細胞の挙動の観察については達成できたが、宿主マウス精細管内の血液精巣関門の観察については達成できなかった。宿主マウスには、セルトリ細胞特異的にZO-1とEGFPの融合タンパク質を発現する二重トランスジェニックマウスを用いており(AmhCre:ZO-1-EGFP(loxP/loxP))、免疫染色法による解析からこのマウスでは血液精巣関門においてEGFPが発現することは確認したが、その発現が微弱であったことから、EGFPの発現強度が顕微鏡の検出感度以下であったことがライブイメージング法による観察ができなかった主要な原因であると推測された。現在、この問題を解決するために、ZO-1-EGFP(loxP/loxP)の配列をホモに持つ個体を作製している。この他に、共焦点レーザー顕微鏡や、二光子レーザー顕微鏡によるライブイメージングの系の立ち上げにも取り組んでいる。

今後の研究の推進方策

平成26年度は、精細管周期とホーミングの関連性と、Claudinとホーミングの関連性について検討する。
GFPを発現するGS細胞を不妊処理したマウス精細管内へ移植し、1日後に精巣を採材し、連続切片を作製する。免疫染色法により、ドナー精子形成幹細胞の分布を解析し、in situ hybridization法により精細管周期のマーカー遺伝子(cathepsin Lやgalectin 1等)の発現を解析する。精細管周期ごとに生着したドナー細胞を計数することにより、生着効率を測定する。この結果から、精細管周期とドナー精子形成幹細胞のホーミングの相関関係を明らかにする。続いて、ビタミンA欠乏マウスへのビタミンA投与により精細管周期を同調した後、GFPを発現するGS細胞を移植する。2ヶ月後にGFP陽性の精子形成のコロニー数と長さを計測し、移植効率を測定する。この結果から、精細管周期が、ドナー精子形成幹細胞のホーミングと、最終的な移植効率に関連するか検討する。
不妊処理したマウス精巣を採材し、連続切片を作製する。免疫染色法により、各種Claudinの発現を解析し、隣接切片における精細管周期マーカーの発現を解析する。この結果から、各周期において血液精巣関門を構成するClaudinの組合せを明らかにし、周期に関連して組合せが変化するClaudinを探索する。続いて、これらのClaudinに関するsiRNAおよび強制発現ベクターを作製し、リポフェクション試薬と共に薬剤処理したマウスの精細管内に注入することで、宿主セルトリ細胞へトランスフェクションする。GFPを発現するGS細胞を移植し、2ヶ月後にGFP陽性の精子形成のコロニー数と長さを計測し、移植効率を測定する。この結果から、血液精巣関門を構成するClaudinの組合せの変化が、ドナー精子形成幹細胞のホーミングと、最終的な移植効率に関連するか検討する。

次年度の研究費の使用計画

データ解析のためにノートパソコンを発注したが、カスタマイズに時間を要したため、納期が平成25年度末になった。
また、平成25年度末に出張があった。
差額にて上記のノートパソコンの購入費と出張の旅費を支払う。
平成26年度の予算に関しては計画通り使用する予定である。

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公開日: 2015-05-28  

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