これまで昆虫寄生菌によるハマダラカの防除研究は致死効果のみ評価されてきたが、本研究課題では宿主探索行動・吸血行動・産卵行動の3種の亜致死性の効果に着目して実施した。その結果、宿主探索行動では菌の感染により熱および色、匂いを認識できなくなること、吸血行動では吸血率、吸血量が低下すること、産卵行動では卵巣の濾胞の発達が抑制され、産卵数および卵の孵化率が低下することが明らかになった。これらの行動阻害は感染症の媒介効率に直接影響するものと考えられ、昆虫寄生菌の感染により疫学的な意味において不活性なベクターを作り出すことが可能であることを示している。
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