セルロース系バイオマスの酵素糖化におけるリグニンの影響を,単離リグニンではなく,実バイオマスを用いて包括的に理解することを目的とした。実験には主として蒸気爆砕ユーカリを用いた。まず糖化残渣の窒素量の測定により,セルラーゼ吸着挙動を追跡する手法開発に成功した。基質へのセルラーゼ吸着量は初期で最大となり,セルロースに吸着したセルラーゼが時間とともに遊離すると推測された。低酵素量の際でも,全セルラーゼがリグニンに吸着するわけではなく,基質中のリグニン含有率の増大につれ,飽和吸着量が増大することを明らかにした。一方アルカリ蒸解前処理を行うと基質中リグニンのセルラーゼ吸着量が大きくなることが示唆された。
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