東南アジア天水田地域における灌漑施設の導入が,草本植物相と食用雑草の利用に及ぼす影響を明らかにするため,ラオス南部において食用雑草に関するヒアリング及び天水田と灌漑田の植生と埋土種子の調査を行った。ヒアリングの結果,9種の食用雑草が記録され,大部分の村人が食用雑草の利用に変化はないと回答した。植生調査の結果,灌漑田の指標種として強害雑草であるヒデリコ,コヒメビエ,ハイキビが挙げられた。また,灌漑田では食用雑草の種子や胞子が減っている可能性が示唆された。以上のことから,現状では食用雑草の利用に影響するほどではないが,灌漑施設の導入は地上植生と埋土種子の種組成に影響を及ぼしていることが分かった。
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