越冬性の植物は,秋の温度低下とともに「低温馴化」と呼ばれる過程を経て耐凍性を獲得して越冬の準備をし,越冬後は気温の上昇を感知して「脱馴化」と呼ばれる過程を経て耐凍性を解除し生長を再開させる.本研究では,低温馴化と脱馴化の分子メカニズムを解明するため,モデル植物であり越冬性のシロイヌナズナを使用して遺伝子とタンパク質それぞれの網羅的な発現解析を行った.その結果,越冬の準備期間である低温馴化時に遺伝子を発現し,気温の上昇を感知するまで保存して,越冬後にタンパク質発現を行うという特別な転写後制御が機能しており,植物が低温ストレス時に通常とは異なる発現メカニズムにより応答していることを明らかにした.
|