研究課題/領域番号 |
25860001
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
笹野 裕介 東北大学, 薬学研究科(研究院), 助手 (10636400)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アルコール酸化反応 / 酸化的速度論的光学分割 / アミノアルコール / ニトロキシルラジカル / キラルオキサゾリン |
研究概要 |
アミノ基を有する1級アルコールからアルデヒドへの酸化について,種々のAZADO型ニトロキシルラジカルを合成し,その触媒活性を精査した.その結果,1-Me-AZADOが最も優れた触媒であることが判明した.これは,立体的要因と電子的要因の両方に起因するものと考察している.また,AZADO触媒を用いた場合に反応が停止する要因として,触媒が基質と共有結合し不活化するためであることを明らかにした.さらに,AZADO-銅触媒を用いる条件の有用性を実証するべく,アルカロイド合成への適用を行った.酸化が難しいと報告のあったmesembranolの酸化に本条件を適用したところ,82%と高い収率で対応するケトンを与えることを見出した. ラセミ第2級アルコールの酸化的速度論的光学分割を誘起する配位子の探索については,市販のビスオキサゾリン配位子を用いた検討においては不斉誘起は殆ど観察されなかった.そこで,種々の新規配位子を合成し検討を行った結果,基質をtrans-2-(2-phenylpropan-2-yl)cyclohexanolとした場合において70% ee程度 (49%回収時) のアルコールが回収できる新規配位子の創製に成功した.回収した本キラルアルコールは,不斉補助基として汎用される8-phenylmentholの擬エナンチオマーとしての活用が期待される. 今後は,最適な配位子の同定を所期の目標とし,研究計画書に従い研究を進めていく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アミノ基を有する1級アルコールからアルデヒドへの酸化については,1-Me-AZADOが最適な触媒であることを同定し,70%以上の収率で生成物を得ることに成功している.また,ラセミ第2級アルコールの酸化的速度論的光学分割については,良好な光学純度でキラルアルコールを与える配位子の主骨格の同定に成功した.
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今後の研究の推進方策 |
1級アルコールからエステルへの酸化については,メタノールを用いる条件では収率良く生成物が得られていない.そこで,今後は他のアルコールを用いてエステルへの効率的な目指す. ラセミ第2級アルコールの酸化的速度論的光学分割については,配位子の側鎖を変更した触媒を種々合成し,最適条件の同定を目指す.
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の検討は,ガスクロマトグラフや高速液体クロマトグラフを用いた検討が中心であったため,中圧分取クロマトグラフシステムの導入を見送った. 2年目は各種不斉配位子の合成とスクリーニングが中心となるため,物品費として使用する予定である.
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