研究課題/領域番号 |
25860010
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
山田 健 北里大学, その他の研究科, 助教 (00608367)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 全合成 / インドール / α-ヒドロキシアミド / イソシアニド / ニトロン / ピリドン |
研究概要 |
本研究は、特異なインドリンスピロアミナール骨格を有するネオキサリンの効率的な全合成経路を確立し、類縁天然物を含む様々なアナログを合成・生物活性評価し、本化合物群をリードとした新規薬剤開発の可能性を探ることを目的としている。 初年度は、光学活性3a-フロインドリンの立体化学を利用したリバースプレニル基の立体選択的導入、適した位置に窒素原子を有するインドリンのニトロンへの酸化を経由したインドリンスピロアミナール骨格構築およびZ-デヒドロヒスチジンの光異性化反応を鍵としてネオキサリンの初の全合成を達成し、Journal of American Chemical Societyに公表した。本合成経路は、27行程2.1%と改善の余地を残していたため、①イソシアニドのアルデヒドへの触媒的不斉付加反応、②1ポット5連続反応によるインドリンスピロアミナール骨格の構築および③光異性化反応を用いないE-デヒドロヒスチジンの選択的構築に取り組んだ。①イソシアニドの不斉付加反応:独自の反応仮説に基づき、様々なE-配置のアミド化合物を調査した結果、3,4,6-トリフルオロ-2-ピリドンが本反応を触媒することを新規に見出し、本反応の触媒的不斉反応化の土台が出来た。②1ポット反応によるインドリンスピロアミナール骨格の構築:様々な条件検討の結果、これまで4工程要していたスピロアミナール骨格構築を2工程で達成することが出来た。③E-選択的デヒドロヒスチジンの構築:グリシンエノラートとイミダゾリルアルデヒドから得られたアルドール付加体の水酸基にBoc基を導入し、イミダゾール部を利用した脱水反応を行うことでE-選択的にデヒドロヒスチジンが構築できることを発見した。 以上のことより、ネオキサリンの全合成に掛かる行程数25、10.1%まで総収率を改善させることが出来、類縁天然物を含むアナログ合成の土台が整った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
①イソシアニドの触媒的不斉付加反応には、当初光学活性ボリン酸を想定していたが、ボリン酸の合成が容易ではなく、計画の変更が強いられた。しかしながら、3,4,6-トリフルオロ-2-ピリドンが本反応を触媒することを新たに発見出来、解決することが出来た。 ②1ポット反応によるインドリンスピロアミナール骨格の構築は、計画通り短工程化できた。 ③E-選択的デヒドロヒスチジンの構築は、当初、HWE反応の利用を計画していたが、アルドール付加体から、脱水法を工夫することでE選択的にデヒドロヒスチジンを構築できた。従って、計画していた基質へのホスホネートの導入やHWE反応の条件検討などが必要なくなり、大幅に研究時間を短縮することが出来た。
|
今後の研究の推進方策 |
新たに開発したピリドン触媒を用いたα-ヒドロキシアミドの合成を基に、ネオキサリン合成中間体であるα-ヒドロキシアミドのジアステレオ選択的付加に取り組む。 最適化した合成経路を基に、天然類縁体であるオキサリン、メリアグリンA、グランジコリンA、グランジコリンB、9-エピネオキサリンを始めとする様々なアナログを合成し、合成中間体をも含め網羅的に生物活性を調査する。具体的には、各種抗菌活性、抗マラリア活性、アフリカ睡眠病の原因であるトリパノソーマに対する抗寄生虫活性を調査する。これら生物活性は、所属研究機関内の共同研究グループにて評価する。
|