研究課題/領域番号 |
25860011
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
高野 真史 帝京大学, 薬学部, 助教 (50386611)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情報交換(米国) / 合成化学 / 生理化学 / 有機化学 / 薬学 / ビタミンD |
研究概要 |
本年度は、これまでに検討してきた、A環2α置換活性型ビタミンD3誘導体の合成においてビタミンD受容体と効果的に相互作用しうる2α置換基上の官能基として複素環窒素原子に着目した2α方向にアゾール環をもつ活性型ビタミンD3誘導体と、化学的安定性で優位であり、また特徴的な生物活性を期待できるジエン構造を有する19-ノル型誘導体の両方の構造的特徴をもつ活性型ビタミンD3誘導体の合成および生物活性評価を行うこととし、まず2α置換基上にテトラゾールプロピル基を有する誘導体およびその2β体の合成を検討した。CD環前駆体ヘテロアリールスルホンはビタミンD3より構築し、2α置換基上にテトラゾールプロピル基を有するA環前駆体は、(-)-キナ酸から得られる2α-(3-ヒドロキシプロピル)基を有する合成中間体の一級水酸基をSN2反応で複素環へと置換することでN-アルキル置換テトラゾール位置異性体として構築した。それぞれ単離精製し、CD環前駆体とJuliaオレフィン化、脱保護することで2α-[3-(テトラゾール-2-イル)プロピル]-1α,25-ジヒドロキシ-19-ノルビタミンD3およびその2β体等を合成した。 合成では種々の誘導体合成に適用可能な汎用性の高いルートを確立するために合成効率についても探求し、立体選択性、収率などにおける反応条件の最適化を行った。 得られた誘導体についてHPLC精製後、 VDR結合親和性や骨芽細胞へのオステオカルシン転写活性等の各種生物活性評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
セコステロイドA環の化学修飾として、A環前駆体とCD環前駆体をそれぞれ合成しそれらを結合する収束的な合成法により、2α側鎖上にヘテロ環を有する新しい19-ノル型ビタミンD3誘導体の合成を達成した。本合成で確立した合成ルートは異なるヘテロ環やアルキル鎖長を有する種々のビタミンD3誘導体合成に適用可能な汎用性の高いルートであり、合成効率が高く、さらに新しい誘導体合成につなげることが可能である。 また、得られた誘導体の各種生物活性評価を行うことができ、それら誘導体における構造と活性の関係について考察することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、平成25年度に得られた結果を基にして、引き続き他のヘテロ環や、アルキル側鎖長を有するA環部位の合成に着手する。 合成した各種A環部位はCD環部位と組合せ、さらなる特性の増強を目的とした修飾のハイブリッド効果について検討を行う。ハイブリッド化については、これまでに報告されているビタミンD誘導体において、最も高活性なA環前駆体とCD環前駆体が最良の組合せとは限らないことを見出しており、特に強力な活性や作用分離能を有するものを基礎とし、可能な組合せについて誘導体を網羅的に合成し、それぞれについて生物活性評価、X線共結晶構造解析、代謝試験を行い、目的の活性プロファイルに対し最も理想的な組合せを見出し、VDRモジュレーターの候補化合物を獲得することを計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
所属研究機関(帝京大学薬学部)は平成24年度にキャンパス移転を行い、平成25年度は引き続き立ち上げ作業を行っていたため、平成25年度使用予定の研究費の一部を平成26年度に繰り越した。 平成26年度も多くの誘導体合成を目的とし、原料合成に必要な有機合成用試薬と有機溶媒、また合成した化合物の分離精製に必要なシリカゲル等、主に消耗品について研究費を使用する。また広く意見交換をし、有機合成化学及びビタミンD研究の最前線を知るため、国内外の学会で得られた成果を発表予定であり、それらをまとめて雑誌論文への投稿を予定している。
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