研究実績の概要 |
本年度は、2位にテトラゾリルプロピル基を有する19-ノル型ビタミンD3誘導体のうち、1-イル体2種の合成を検討した。CD環前駆体ヘテロアリールスルホンはビタミンD3より構築し、A環前駆体は、(-)-キナ酸から得られる2-(3-ヒドロキシプロピル)基を有する合成中間体の一級水酸基をSN2反応で複素環へと置換することでN-アルキル置換テトラゾール位置異性体として構築した。それぞれ単離精製し、CD環前駆体とJuliaオレフィン化、脱保護することで2α-[3-(テトラゾール-1-イル)プロピル]-1α,25-ジヒドロキシ-19-ノルビタミンD3およびその2β体を合成した。 研究期間全体を通じてA環2位置換活性型ビタミンD3誘導体の合成においてビタミンD受容体と効果的に相互作用しうる2位置換基上の官能基として複素環窒素原子に着目した2位方向にアゾール環をもつ活性型ビタミンD3誘導体と、化学的安定性で優位であり、また特徴的な生物活性を期待できるジエン構造を有する19-ノル型誘導体の両方の構造的特徴をもつ活性型ビタミンD3誘導体の合成および生物活性評価を行うこととし、2α置換基上にテトラゾリルプロピル基を有する誘導体およびその2β体の4種の新規リガンドを合成した。 合成では種々の誘導体合成に適用可能な汎用性の高いルートを確立するために合成効率についても探求し、立体選択性、収率などにおける反応条件の最適化を行った。 得られた誘導体についてHPLC精製後、 VDR結合親和性や代謝実験等の評価を行い、CYP24A1による代謝をきわめて受けにくいことがわかった。 本研究課題の成果は、CYP24A1に対して抵抗性のあるリガンドを獲得し、ビタミンD誘導体によるCYP24A1選択的な阻害剤の開発研究に貢献するものである。
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