Phaeosphaeride Aは、2006年にClardyらのグループにより内部感染性の真菌から単離された含窒素天然物であり、STAT阻害活性を有することが報告されている。STAT3は転写制御因子の一つであり、種々の腫瘍細胞において恒常的に活性化していることが知られているため、STAT3阻害剤による抗がん作用の発現が期待される。 本研究によりphaeosphaeride Aの全合成経路を確立し、これまで不明であった本天然物の全立体構造を明らかにした。またphaeosphaeride Aのエナンチオマー、ジアステレオマー、および数種の人工類縁体を合成し、構造活性相関研究に必要なサンプルを得た。
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