研究概要 |
ビアリール類の中で、フェノール骨格を有する化合物は生物活性天然物など重要な化合物に見られる骨格である。最近研究代表者は、フェノール類であるカテコールのカップリング反応が、特定のプロトン酸を添加すると進行し、ディスコティック液晶材料の中間体、機能性有機材料の原料として有用な2,3,6,7,10,11‐ヘキサヒドロキシトリフェニレン(HHTP)が得られることを見出した(Eur. J. Org. Chem., 2013, 1659-1662)。そこで本法を応用することにより最近、フェノール類の酸化的クロスカップリング反応へと展開することに成功し、種々のクロスカップリング体を収率良く合成することに成功した(Chem. -Eur. J., 2013, 19, 8726-8731.)。 一方で含窒素芳香族ビアリール類は生物活性天然物や医薬品に多くみられる重要な化合物であり、その簡便な合成法の開発は有機合成上重要である。今回研究代表者は、含窒素ヘテロ芳香族化合物であるピロール類のヨードニウム塩に注目し、その反応性を検討し新たな結合形成反応へと展開すべく検討した。その結果、種々のピロールのヨードニウム塩を、ルイス酸を添加して様々なアゾール類と反応させるとピロール類の炭素-窒素結合形成反応が起こることを明らかとした(Asian J. Org. Chem. 2014, 3 382-386)。 さらにヨウ素反応剤の触媒的利用にも注目し、アニリン誘導体の触媒的なクロスカップリング反応の開発も行い、効率的なビアリール合成法の開発に成功した (J. Am. Chem. Soc., 2013, 135, 14978~14081)。
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