本研究課題では汎用的な安定同位体標識チロシンキナーゼの発現手法の開発と構造検出型薬剤結合評価法の開発を行った。最初に、大腸菌によるチロシンキナーゼの発現を最適化するための発現ベクター、共発現パートナー、融合タグ、培養条件の検討を行い、効率的な調製手法を構築した。これを、11種類のチロシンキナーゼに対して適用し、8種類において安定同位体標識試料の調製に成功し、本手法の汎用性を確認した。また、選択的安定同位体標識試料を調製し、そのNMRスペクトルを観測することで、チロシンキナーゼの構造平衡状態の検出することが可能であることを確認した。チロシンキナーゼ阻害薬の開発に有用であると考えられる。
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