研究課題
若手研究(B)
本課題はファルネシル二リン酸合成酵素(FPPS)を阻害する非ビスホスホネート系化合物を論理的に開発することを目的としている。初年度は論理的創薬に必要な、水素原子を含む“完全な”立体構造を明らかにするべく、FPPS-リセドロネート複合体の大型結晶作成と中性子回折データ収集を行った。8ヶ月に及ぶマクロシーディング法によって約3.5 mm3の結晶が得られ、これらの結晶をドイツ・ミュンヘン工科大学の研究用原子炉FRMIIに建設されたタンパク質単結晶用中性子ビームラインBIODIFFで回折測定を行った。2.4 Å分解能までのブラッグ反射を用いて積分強度計算・スケーリングを行い、Rmerge、完全性がそれぞれ10.7、98.4%と良好なデータが得られた。ここまでの研究成果をまとめて、研究論文をActa Crystallographica Section Fに投稿して受理された。さらに、より精度の高い水素原子位置情報を得るために相補的なデータとなるX線回折データを高エネルギー加速器研究機構・PF-ARのビームラインNW12Aで収集した。現在、これらの回折データを用いて構造解析を行っている。
1: 当初の計画以上に進展している
当初の計画では、初年度中に大型結晶化・中性子テスト測定まで行う予定であったが、期待していた以上に用意した結晶の回折能が高く回折データ収集まで完遂できたため。
研究は順調に進んでいる。引き続き構造解析を行い、薬剤の結合に重要な水分子やアミノ酸側鎖のプロトン化状態を決定する。その後、研究実施計画通りにイン・シリコ創薬研究を行う。
次年度使用額は1000円以下であり、研究遂行自体に問題は無く、今後の研究計画に変更は無い。次年度研究遂行に必要で、少額の消耗品購入に充てる。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
Acta Crystallographica Section F
巻: 70 ページ: 470-472
10.1107/S2053230X14004087
Journal of Medicinal Chemistry
巻: 57 ページ: 1090-1096
10.1021/jm401832j
Journal of Synchrotron Radiation
巻: 20 ページ: 834-837
10.1107/S090904951302075X