研究課題/領域番号 |
25860038
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
倉石 貴透 東北大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (90613167)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | NF-κB |
研究概要 |
NF-κBは免疫やガンの制御において中心的役割を持つ転写因子であり,私たちはNF-κBの活性化に必須な新規遺伝子としてmCG8863を見出している.しかし,mCG8863がどのような分子機構でNF-κBの活性化に関与しているかまだ明らかになっていないため,本年度はその点を明らかにするための研究を行った.mCG8863のRNAiを行ったHEK293細胞において,フラジェリン刺激後のNF-κB経路因子のリン酸化状態をウエスタンブロッティングにより検討したところ,mCG8863のRNAiを行った細胞ではIκBαのリン酸化とIκBα総量の減少,RelA(NF-κB p65)のリン酸化がコントロールと比べてそれぞれ抑制されていた.この結果は,mCG8863はIκBαのリン酸化より上流の段階でNF-κB経路の活性化に寄与する分子である可能性を示している.続いて,mCG8863のRNAiを行った細胞でIKKβを過剰発現させ,その下流のNF-κB経路因子のリン酸化状態を検討したところ,mCG8863のRNAiを行った細胞ではIKKβの総量やリン酸化状態はコントロールと変化がないにも関わらず,RelA(NF-κB p65)のリン酸化は顕著に抑制されていた.このことから,mCG8863はIKK複合体より下流でNF-κB経路の活性化に寄与している可能性が高い.また,NF-κB経路因子の免疫沈降により,IκBαと共沈降されてくるmCG8863がフラジェリン刺激により増大することが明らかとなった.以上から,mCG8863はNF-κB経路活性化時にIκBαのもとにリクルートされ,活性化されたIKK複合体によるIκBαのリン酸化を何らかの形で補助しているというモデルが考えられた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的の主要の一つである、mCG8863がNF-κB活性化のシグナル伝達経路において、どのような分子メカニズムでその活性化に関わっているのかをおおむね明らかにすることができた。よって、達成度は「おおむね順調に進展している」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
mCG8863のノックアウトマウスを作成してin vivoでの解析を行う予定であったが、設備や要する時間から、マウスではなくショウジョウバエ個体を用いてCG8863のin vivoでの解析を行う予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
ノックアウトマウス作成を中止したため。 ショウジョウバエを用いたin vivoでのCG8863の機能解析に使用する。
|