研究課題
代表者は分泌性因子neudesinの遺伝子欠損マウス(以下KOマウス)を用いて、neudesinの生理的意義の解明を目指している。特にneudesin KOマウスが高脂肪食誘導性肥満に耐性を示すことに着目して、neudesinのエネルギー代謝における役割の解明、さらに将来的にneudesinを抗肥満薬創出の標的として利用する上で基盤となる知見を得ることを目指している。代表者は本年度に次の成果を得た。①: neudesin KOマウスで認められた交感神経の活性化が脂肪組織に強い影響を与え、熱産生や脂肪酸酸化の亢進といったエネルギー消費亢進に繋がる変化を引き起こしている。②: 6-ヒドロキシドパミン投与により交感神経系を破壊するとneudesin KOマウスの抗肥満の表現型が一部消失した。従ってneudesin KOマウスの抗肥満の表現型に交感神経系の活性化が寄与していることが確認された。③: ラット副腎髄質由来のPC12細胞は交感神経節後ニューロンのモデルとして利用される。PC12細胞への組換えneudesinたんぱく添加によってノルアドレナリン産生の律速酵素であるチロシンヒドロキシラーゼの遺伝子発現が低下した。従ってneudesinは交感神経節後ニューロンに作用してノルアドレナリン産生を抑制する可能性がある。一方で視床下部においてエネルギー消費の調節に関わるニューロペプチド類の発現にジェノタイプ間で変化は認められなかった。以上より、少なくとも現段階において、neudesinによる交感神経活性制御は中枢を介した影響より末梢神経への影響の方が優勢であることが予想される。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
frontiers in Endocrinology
巻: 6 ページ: 154
10.3389/fendo.2015.00154
frontiers in Molecular Biosciences
巻: 2 ページ: 24
10.3389/fmolb.2015.00024
Scientific Reports
巻: 5 ページ: 10049
10.1038/srep10049