研究課題/領域番号 |
25860047
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉田 孟史 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任研究員(常勤) (60635100)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | エクソソーム / shRNAライブラリー / スクリーニング |
研究概要 |
エクソソームは免疫、癌、ウイルス感染症など様々な生命現象や疾患に深く関与すると考えられている。しかしながら、エクソソームの産生と放出機構が未解明である為、生体内でのエクソソームの生理機能はほとんど解明されていない。そこで本研究ではエクソソームの産生と放出を制御する分子をshRNAライブラリーとFACSAriaを用いた高効率スクリーニング法で網羅的に同定し、その全容を明らかにする。 まず、高効率スクリーニング法を構築するために、FACSを用いたエクソソーム産生能評価系を作成した。エクソソームは酸性の多胞性エンドソームで産生される。そこで、酸性オルガネラを染色する色素を用いてエクソソームの産生を検出可能であるか検証した。ヒト白血病細胞株K562細胞はカルシウム刺激によりエクソソームを放出し刺激を除去することで再びエクソソームを産生する。細胞を酸性オルガネラ染色試薬で染色することで細胞内エクソソームの変動をFACSで検出可能であった。このエクソソーム産生評価系を用いてshRNAライブラリーを導入した細胞集団からエクソソーム産生に異常をもつ細胞集団をFACSAriaを用いて採取した。この細胞集団についてシークエンス解析を行い、数種類の候補分子を特定した。さらに、これらの分子がエクソソームの産生や放出に関与しているかを評価する為に、細胞が培養液中に放出したエクソソームをELISA法を用いて定量する評価系を構築した。エクソソームマーカー分子に対する受容体や抗体を用いることで、細胞培養液中のエクソソームを定量するELISA系を構築した。スクリーニングで得られた候補分子について、エクソソームの産生に関与しているかをELISA法およびウェスタンブロッティング法を用いて検証した結果、いくつかの分子がエクソソームの分解に関与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、(1)細胞内のエクソソームの産生と細胞外への放出を定量化する実験系の樹立、(2)放出されたエクソソームを定量化する実験系の樹立、(3)shRNAライブラリーによるエクソソーム産生と放出を制御する分子のスクリーニングを実施した。その結果、スクリーニングによりエクソソーム産生に関与する候補分子を取得し、個々の候補分子についてエクソソーム放出量を定量することで、エクソソーム産生に関与する可能性の高い幾つかの分子候補分子を同定することに成功している。以上のことから、本研究は当初の予定通りおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、スクリーニングにより得られた候補分子がどこでどのようにエクソソームの産生や放出を制御するのかを明らかにする。まず、それぞれの分子に特徴的なドメイン領域にアミノ酸点変異体や欠損をいれた分子を発現させ、ドミナントネガティブ効果を検討することにより明らかにする。さらに、蛍光蛋白質との融合蛋白質として発現させることにより、エクソソームの産生や放出の際に細胞内でどのように局在し、何を行っているのかをライブイメージングにより解析する。最後に、同定した分子が実際に生体内でエクソソームの産生や放出に関与するかを明らかにする予定である。
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