研究課題
本研究は、神経幹細胞においてtenascin-C (TNC)やlysosomal-associated membrane protein 1 (LAMP-1)が一般的な糖タンパクとは異なる分泌経路を通ることで、HNK-1やLewisXのような特徴的なグライコトープが付与されるという想定のもとで実施するものである。TNCの6つのスプライシングドメインのみを発現するプラスミドベクター、さらには1つのC1ドメインを欠損した5つスプライシングドメインを有するバリアントを発現するプラスミドベクターを作成した。両ベクターを神経幹細胞に導入したところ、6個のスプライシングドメインを有するTNCのみHNK-1糖鎖の修飾が認められた。以上の結果から、HNK-1糖鎖はC1ドメインの存在により、HNK-1糖鎖付加が起きているものと推察される。つぎに、直接C1ドメインにHNK-1糖鎖が結合しているか、もしくはC1ドメインの存在により他のドメインにHNK-1糖鎖修飾が起きているかについて明らかにするため、神経幹細胞よりTNC分子を抗HNK-1糖鎖抗体を用いて精製を行った。これにより、精製したTNCを対象とした質量分析法によるHNK-1糖鎖結合部位の同定を行う準備が整った。さらには、C1ドメインが選択的にHNK-1合成酵素であるグルクロン酸転移酵素や硫酸基転移酵素に認識される可能性を考え、これら酵素の相互作用解析にも取り組む予定である。これにより、選択的スプライシングが糖鎖修飾に与える影響が明らかになるものと期待される。一方で、LewisX型糖鎖の生合成を担う酵素の1つであるfucosyltransferase 9(FUT9) をCHO細胞に導入したところ、単一タンパク質のみにLewisX糖鎖が付加されていることを見出した。これにより、神経幹細胞だけでなくCHO細胞などの株化細胞においても、FUT9による特異的なLewisX修飾が行われていることを示すことができた。
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