研究課題/領域番号 |
25860054
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
谷川 尚 帝京大学, 薬学部, 助教 (00609985)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | GPR55 / リゾホスファチジルイノシトール |
研究概要 |
第3のカンナビノイド受容体と報告されているGPR55の内在性リガンドは、リゾホスファチジルイノシトール (LPI) である。しかし、GPR55に関する研究はまだ始まったばかりであり、この受容体の役割や、生理的あるいは病態生理的意義等に関しては、まだ多くの事柄が不明のままである。今回の研究では、まずGPR55の各種臓器及び組織における発現を調べた。脾臓、リンパ節などの免疫系の組織、小腸、大腸などの消化器系の組織、精巣等で高い発現が観察された。一方、脂肪組織、胃、肝臓等では発現はほとんど見られなかった。消化器系の組織である小腸におけるGPR55の発現を詳しく調べた結果、GPR55はリンパ球において発現が高いことがわかった。単離した各種白血球系細胞について調べた結果、 Tリンパ球及びBリンパ球、そして樹状細胞等にGPR55の発現が認められた。また、Tリンパ球及びBリンパ球は分化段階を経てGPR55の発現が増加していることが明らかとなった。培養白血病細胞株にLPIを添加すると、細胞増殖が促進することがみられた。マウスに抗原を投与し、免疫応答を誘導すると、脾臓におけるGPR55の発現は増加していた。これらの結果から、GPR55は免疫系の組織に高く発現していること、免疫系の細胞が成熟していく過程でGPR55の発現が増大することが明らかになった。LPIは、GPR55を発現している免疫系の組織や細胞に作用して、免疫応答や増殖等の調節に関わっている可能性が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回の研究で、GPR55が免疫系の組織や消化器系の組織に高く発現していることがわかった。抗原を投与し、免疫応答を誘導することにより、GPR55の発現が増加することがわかった。単離した免疫系の細胞であるTリンパ球やBリンパ球、樹状細胞等に発現しており、LPIを加えることにより細胞増殖が促進したこと等からGPR55が免疫応答での免疫系細胞の機能や増殖調節等に関わっている可能性がわかった。
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今後の研究の推進方策 |
GPR55は免疫系の組織や消化器系の組織に発現しており、特に免疫系の細胞ではTリンパ球やBリンパ球、樹状細胞等に発現している。GPR55が免疫系の細胞の機能や増殖調節に関わっている可能性が考えられることから、GPR55及びLPIの作用をさらに詳細に調べ、GPR55とLPIの機能と役割を明らかにしたいと考えている。特に、免疫誘導時にGPR55の増加がみられることから、GPR55と炎症・免疫応答における生体内での関わりについて追究したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を使用してきたため、研究計画に変更はないが、当初の見込み額と使用額が異なった。 研究計画に特に変更はなく、前年度の研究費を含めて、当初予定していた計画通り研究を進めていく。
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