肺炎はインフルエンザウイルス感染症における主要な死因の一つである。しかしインフルエンザウイルス肺炎の成立機序については不明な部分が多い。我々は通常アレルギー反応を引き起こす肥満細胞が、インフルエンザウイルス肺炎においても重要な役割を演じることを明らかとした。肥満細胞はインフルエンザウイルスの生体への侵入を検知し、呼吸器官で分化、増殖する。肥満細胞は肺胞マクロファージの活性化を引き起こす。また、肥満細胞ではインフルエンザウイルスの感染性を上げるタンパク質が発現しており、肥満細胞が呼吸器で増加することでウイルス増殖が高進し、マクロファージの活性化と相まって肺炎症を増悪していることが考えられる。
|