研究課題
ATPやADPなどのヌクレオチドを伝達物質とするプリン作動性化学伝達において、ヌクレオチドはプリン受容体に結合し、痛みや味覚の伝達、血液凝固、血管収縮等の多彩な生理機能を制御している。受容体を介した様々な生理作用が明らかになっている一方で、ヌクレオチドの放出様式はほとんどわかっていない。本研究では、分泌小胞内へのヌクレオチド蓄積に預かる小胞型ヌクレオチドトランスポーター(VNUT)に焦点をおき、血球系細胞におけるヌクレオチド分泌様式とその破綻による病態発現の解明をすすめた。血小板の密顆粒にはADPやATPなどのヌクレオチドが蓄積しており、放出されて血液凝固の初発因子となることはよく知られているが、血小板の密顆粒にどのような機構でヌクレオチドが蓄積されるのか未解決であった。そこで血小板におけるVNUTの局在と機能について解析した。血小板にVNUTが高発現することをタンパク質レベルで確認し、IHCにより密顆粒に局在することを明らかにした。血小板から膜小胞を調整し、ATP輸送を測定した。その結果、その輸送特性は精製VNUTの輸送特性と同様であった。また、血小板モデル細胞MEG-01を用い、VNUTをノックダウンし、ATP分泌量を測定した結果、VNUTをノックダウンした細胞からのATP分泌量は有意に低下した。また、VNUTに特異的な阻害剤であるグリオキシル酸を見いだした。VNUT KOマウスの血小板を用いて凝集実験を進めており、野生型に比べ凝集速度が低下することを見いだしている。好中球においては、自ら分泌したATPによってその遊走が制御されているが、その分泌機構やATP蓄積小胞について不明な点が多い。VNUTが好中球に高発現し、小胞に局在することを見いだした。現在好中球からのATP分泌と遊走について解析を進めている。
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