肺高血圧症は、肺血管障害によって持続的に肺動脈圧が上昇する致死性疾患である。我々は肺動脈平滑筋におけるカルシウム感受性受容体の発現増加が、肺高血圧症の病態機構に関与していることを明らかにしてきた。本研究では、カルシウム感受性受容体と機能連関するカルシウム流入経路を検索した。その結果、特発性肺動脈性肺高血圧症の肺動脈平滑筋細胞における異常な細胞内カルシウム濃度上昇は、カルシウム感受性受容体とTRPCチャネルの機能的連関によることが示唆された。この機構が、特発性肺動脈性肺高血圧症患者の過剰なカルシウム流入や細胞増殖に関与している可能性が考えられる。
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