研究課題
本研究はオキサリプラチンによる末梢神経障害発症機序の機序とその抑制薬の開発を目的としている。平成26年度はオキサリプラチン末梢神経障害に関わるシグナル伝達因子としてプロテインキナーゼC及びその下流シグナル伝達因子であるERK1/2を同定し、そのPKC阻害薬であるタモキシフェン、ケレリトリン、及びMEK1/2阻害薬であるPD0325091によってオキサリプラチン誘発末梢神経障害を抑制することを見出した。さらに、これらの阻害薬はオキサリプラチンによる腫瘍増殖抑制効果を増強させることも明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
平成26年度においてオキサリプラチン末梢神経障害に関わるシグナル伝達因子としてプロテインキナーゼC及びその下流シグナル伝達因子であるERK1/2を同定し、そのPKC阻害薬であるタモキシフェン、ケレリトリン、及びMEK1/2阻害薬であるPD0325091によってオキサリプラチン誘発末梢神経障害を抑制することを見出した。さらに、これらの阻害薬はオキサリプラチンによる腫瘍増殖抑制効果を増強させることも明らかにした。さらに、オキサリプラチン誘発末梢神経障害に関わる因子を現在、解析中であり、また、抑制薬の詳細なメカニズムについても検討を進めている。これらのことから、研究計画通り、おおむね順調に進行していると考える。
平成27年度はオキサリプラチン誘発末梢神経障害発症機構のより詳細なメカニズムについて検討を進める。また、その抑制薬の作用機構についてのメカニズムも解析を行う。平成26年度ではオキサリプラチン誘発末梢神経障害にプロテインキナーゼC及びERKが関与することを明らかにし、そのシグナル阻害薬により末梢神経障害を抑制できることを見出した。さらに、これらの阻害薬はオキサリプラチンの抗腫瘍効果を増強させることも明らかにしている。平成27年度では痛みに関わる受容体の発現機構に上記のプロテインキナーゼCやERKが関与しているか解析を行う。これらを明らかにすることでオキサリプラチン誘発末梢神経障害の機構を明確にすることが可能であると考えている。また、成果が得られれば、順次、論文投稿や学会発表を行う。
平成26年度の研究計画では、必要な実験試薬及び実験動物の購入を行って検討を進めた。しかし、研究を遂行する中で他の業務などにより検討が若干、進められなかったことが挙げられる。また平成26年度での研究費を平成27年度にあて、平成27年度は精力的に研究計画を進めていく予定である。
平成27年度では、平成26年度及び平成27年度の研究費をマウス及び試薬の購入費に充てる。オキサリプラチンの末梢神経障害発症メカニズムを解明する上で、マウスの購入及び試薬の購入は必要である。詳細なメカニズムの解明を行うため、必要な抗体の購入を行い、研究課題を遂行する。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)
International Journal of Cancer
巻: In press ページ: In press
10.1002/ijc.29367