研究課題
遺伝的多様性に富む亜熱帯・熱帯地域の未解析植物資源から化合物の単離・精製を行い物理化学データの解析を行い、その化学構造を決定した後に、アンチエイジングを目的とした美肌作用を検討するため、メラニン産生抑制、チロシナーゼ阻害、最終糖化生成抑制、コラゲナーゼ阻害、DPPHラジカル消去活性などの検討をする。また類縁化合物を単離し、それらについて構造活性相関研究を行うことを研究の目的とする。平成26年度に用いた研究材料の一つはアーユルヴェーダ生薬のツボクサ(Centella asiatica)である。ツボクサは若返りのハーブとして東南アジアでは食用とされているが、その詳しい成分などは未詳であり研究に着手したところ、一種の新規化合物を単離構造決定するとともに、ツボクサ含有フラボノイド類に最終糖化生成抑制作用、チロシナーゼ阻害活性が認められ、アンチエイジング植物として有用であることを示した。またこの結果については日本薬学会で発表を行っている。また、エジプトで採取したレンブ(Syzygium samarangense)葉部についての成分探索を行い、新規化合物を三種得ることができた。そのうち、ニトリル基を持った芳香族化合物と、硫酸エステル基を有するフラボノイド配糖体には、ポジティブコントロールとして用いたTroloxよりも強いDPPHラジカル消去活性を示すことを明らかとし、国際学会で発表を行い、国際誌に投稿している。
2: おおむね順調に進展している
平成26年度に新たに研究材料とした植物より、シワなどの原因となる最終糖化生成を抑制する化合物のほかに、チロシナーゼ阻害化合物、またDPPHラジカル消去活性化合物をそれぞれ同定することができている。また、DPPHラジカル消去活性を示す化合物は新規化合物であり、ポジティブコントロールと比較しても強い活性を示すことを明らかにした。また得られた研究結果について、国際学会を始め国内学会でも発表し、国際誌に数報報告できていることからも、おおむね順調に進展していると評価している。
植物からの単離・構造決定は引き続き行うものとし、今年度新たに立ち上げる抗プラスミン活性について検討を行い、各美肌用薬のリード化合物の決定を行う。また、ほかに検討したい活性試験としては、長年使われてきた活性方法であるヒアルロニダーゼ阻害試験ではあるがスケールが大きいため、一回の必要な試薬、化合物等の量が多いのがネックである。そこで、小スケールでも検討できるように、ヒアルロニダーゼ阻害試験について改良を検討する。また、本試験が形になれば合わせて活性を評価していく予定である。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 7件) 学会発表 (9件)
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