研究課題
亜熱帯、熱帯地域の未利用植物から、化合物を単離するとともに、活性を有する化合部の構造活性相関を明らかとする。美容薬としての医薬リード化合物の探索を主目的とするため、メラニン産生抑制、糖化抑制活性、コラゲナーゼ阻害活性などを検討した。植物Ixora undulataはエジプトで採取した植物で、本植物からは非常に珍しい含窒素含硫黄化合物二種を単離し、X-線結晶構造解析を用い絶対立体配置を含めた構造を決定した。他に三種の新規芳香族誘導体、一種の新規フラボノイド配糖体を単離するとともに、七種の既知化合物を得た。得た化合物について、糖化抑制活性試験を行った結果、ポジティブコントロールとして用いられているアミノグアニジンの50%阻害濃度の約30倍の強度を持つメガスティグマン配糖体、フラボノイド配糖体を明らかとした。なお、糖化抑制活性を示すメガスティグマン配糖体の報告は初めてである。沖縄県産植物Grevillea robustaから強力なメラニン産生抑制活性を示すアルブチン誘導体の新規化合物を決定した。Linaria japonicaは海岸の砂地に自生し、民間薬として利尿が知られているが、未詳な部分が多かったため研究に着手したところ、3種の新規フラボノイド配糖体を単離するとともに、既知フラボノイドを得た。なお、新規化合物はいずれも糖鎖が数カ所アセチル化されており、そのアグリコンは6位、4’位がメチル化されたpectolinarigeninであった。これらについても糖化抑制活性として、ポジティブコントロールの36~60倍強い阻害活性を明らかとした。なお、コラゲナーゼ阻害については、新規化合物には活性が認められず既知化合物に認められた。以上のことから、未詳の植物についてその含有成分を決定し、それらについての新規有用性を明らかとしたことは、天然物からの創薬に関して重要であると考えられる。
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