研究課題/領域番号 |
25860088
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研究機関 | 東北薬科大学 |
研究代表者 |
名取 良浩 東北薬科大学, 薬学部, 助教 (50584455)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 医薬品化学 / イミノ糖誘導体 / ライソゾーム病 / ケミカルシャペロン療法 / 酵素阻害活性物質 / 構造活性相関研究 |
研究実績の概要 |
L型イミノ糖についての研究実績 研究実施計画(様式D-2-1)に従い、16種の立体異性体が存在するC1置換イミノフラノースの構造活性相関研究について検討を行った。その結果、C1位にn-ブチル基が置換したL型イミノ糖の全8種の立体異性体の合成を達成した。立体中心の構築法に関しては、C1位とC4位は不斉アリル位アミノ化を用いて構築し、C2位とC3位は根岸カップリング後の二重結合に対する立体選択的なジヒドロキシル化により構築可能であった。なお、この合成法は、D-イミノ糖にも適用可能である。 合成した8種のL-イミノ糖の構造活性相関研究として、α-グルコシダーゼ阻害作用を測定した結果、アラビノース型が最も高い阻害活性を示すことが明らかになった。この結果は、創薬研究センターシンポジウム、第44回複素環化学討論会、日本薬学会第135回年会で学会発表を行った。平成27年度には学術論文として投稿する予定である。 また、C1位の置換基も同時に検討した結果、4-アリールブチル基を含むL-アラビノース型イミノ糖が極めて高い酵素阻害作用を示すことが判明した。ベンゼン環上の置換基効果も検討した結果、3,5-ジフルオロフェニル基が最も高い阻害活性を示し、これまでに報告したイミノ糖の中で最も強力なα-グルコシダーゼ阻害剤となることが明らかとなった。この結果は、第53回日本薬学会東北支部大会、日本薬学会第135回年会にて発表し、学術論文として報告した。(Bioorg. Med. Chem. Lett., 2014, 24, 3298-3301.) D型イミノ糖についての研究実績 L型イミノ糖の研究において上記の様な興味深い知見が得られたことから、そちらに多くの時間を使ったため、D型イミノ糖に関する研究はあまり進められなかった。平成27年度は新規D型イミノ糖を合成し、それらの酵素阻害評価を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
C1位にアルキル基が置換したL-イミノ糖の全8種の立体異性体の合成を達成したこと、さらにこの合成法は、D-イミノ糖にも適用可能であることは、研究の目的であるイミノ糖の化合物ライブラリー構築に大きく貢献できると思われる。また、高いα-グルコシダーゼ阻害活性を示した4-アリールブチル基を含むL-アラビノース型イミノ糖は、糖尿病の食後過血糖改善薬の候補化合物として期待できる。 上記の得られた研究成果について平成26年度に5回の学会発表、1報の学術論文を発表しており、研究はおおむね順調に進展していると言える。 今後は、研究目標として掲げたD型イミノ糖誘導体のβ-グルコシダーゼとβ-ガラクトシダーゼに対する阻害活性評価について検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度までの研究結果より、L型のイミノ糖誘導体に関しては、その合成方法、酵素阻害活性において良好な結果が得られたと考えている。今後は、新規D型イミノ糖の合成を行い、それらのβ-グルコシダーゼ、β-ガラクトシダーゼに対する阻害活性評価を行う予定である。イミノ糖と酵素のドッキングシミュレーションによる阻害作用の解明や、in vivoでの活性試験についても検討したいと考えている。 また、本研究全体を通して、共同研究者である富山大学付属病院薬剤部の加藤敦先生と密に連絡を取り合い、協力して研究を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
反応の収率向上および効率的な合成法の開発によって、試薬などに使用する予定の金額が予想よりも安価となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
より多くのイミノ糖誘導体を合成するための試薬を購入するために使用する予定である。
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