研究実績の概要 |
1) L型イミノ糖についての研究実績 研究実施計画に従い、16種の立体異性体が存在するC1置換イミノフラノースの構造活性相関研究について検討を行った。その結果、C1位にn-ブチル基が置換したL型イミノ糖の全8種の立体異性体の合成を達成した。立体中心は、不斉アリル位アミノ化および二重結合に対する立体選択的なジヒドロキシル化により制御可能であった。なお、この合成法は、D-イミノ糖にも適用可能である。合成した8種のL-イミノ糖の構造活性相関研究として、α-グルコシダーゼ阻害作用を測定した結果、アラビノース型が最も高い阻害活性を示すことが明らかになった。この結果は、平成28年度に学術論文として投稿する予定である。 さらに、C1位の置換基も同時に検討した結果、4-アリールブチル基を含むL-アラビノース型イミノ糖が高い酵素阻害作用を示すことが判明した。ベンゼン環上の置換基を検討した結果、3,5-ジフルオロフェニル基が最も高い阻害活性を示し、これまでに報告したイミノ糖の中で最も強力なα-グルコシダーゼ阻害剤となることが明らかとなった。この結果についても、学術論文として報告した。(Bioorg. Med. Chem. Lett., 2014, 24, 3298-3301.)また、これまでのL-イミノ糖誘導体の合成、生物活性についてまとめ、有機合成化学協会誌で発表した。(Journal of Synthetic Organic Chemistry, Japan., 2016, 74, 335-349. ) 2) D型イミノ糖についての研究実績 ゴーシェ病の化学シャペロン療法における治療薬の候補化合物として、β-グルコシダーゼ阻害活性を示す新規D型イミノ糖誘導体を見出した (Org. Biomol. Chem., 2016, 14, 1039-1048.)。
|