研究課題
ワルファリンは、抗凝血剤あるいは抗凝固剤として古くから日本のみならず世界中で広く使用されてきた薬剤の一種であるが、至適投与量に個人差がある上に治療域が狭いため、専門医を超えて広く使用される状況にはない。ワルファリンのターゲットとなるVKORC1の遺伝子多型はワルファリン使用量の最重要決定因子であるが、VKORC1の立体構造が明らかになっていないため、分子メカニズムやワルファリンによる阻害機構は明らかにされていない。本研究では、ヒト由来VKORC1(以下hVKORC1という。)とワルファリン複合体の立体構造を高分解能で明らかにし、分子メカニズムやワルファリンによる阻害機構を解明することで、様々な変異に対して有効なワルファリン類似薬開発の手がかりを得ることを目指している。本研究ではX線結晶構造解析の手法を用いてhVKORC1の立体構造を明らかにすることを目指しているが、タンパク質の結晶化には大量の精製タンパク質が必要なため、一度の培養で効率よく大量にhVKORC1が得られるようにコドンの最適化を行うことで発現系の構築を行った。昨年度は、hVKORC1の精製を行い、本年度は様々な結晶化スクリーニングを用いて結晶化を行ったが、結晶を得ることが出来なかった。そこで、創薬などの観点からヒト由来酵素の構造を明らかにするのが理想だが、哺乳類由来の構造が未知であるVKORC1の構造解析を迅速に行うために、マウス由来VKORC1、ウシ由来VKORC1に関しても並行して研究を進めており、こちらの2種類の酵素に関してもコドンの最適化を行い、発現系の構築および大量発現を行った。また、実験だけではなくin silicoを用いてhVKORC1の立体構造予測を行い、哺乳由来VKORC1の立体構造を明らかにすることを目指した。
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Scientific Reports.
巻: 5 ページ: 16641