本研究では、ナンセンス変異を読み飛ばす活性をもつ合成ネガマイシン誘導体群から、p53遺伝子のナンセンス変異に効果を発揮するリードスルー化合物TCP-169を見出した。p53 nullのヒト肺腺癌由来Calu-6細胞に対し、TCP-169は明確な細胞増殖抑制活性を示した。また、ウエスタンブロットにより、Calu-6細胞におけるp53のタンパク質再発現が確認され、更にMDM2阻害剤ナトリン-3や小胞輸送阻害剤ブレフェルジンAの共投与により細胞増殖抑制活性が有意に増強された。一方で、p53再発現活性以外に、TCP-169が有する細胞増殖抑制機構の存在が示唆されたことで、今後の解明に期待が寄せられる。
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