研究課題/領域番号 |
25860095
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
服部 隆行 国立医薬品食品衛生研究所, 機能生化学部, 主任研究官 (50377751)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | タンパク質分解 / プロテインノックダウン / Ras / 癌分子標的治療 |
研究概要 |
rasは腫瘍全体の約3分の1で活性化変異が認められている最も普遍的な癌遺伝子であり、その産物である低分子量Gタンパク質Rasは抗腫瘍薬開発上、最も有効な分子標的の一つと考えられる。本研究課題では、Specific and No-genetic IAP-dependent Protein eraser(SNIPER)を用いたプロテインノックダウン法によって、癌細胞中の活性型Rasタンパク質を特異的に標的し、分解に導くための基盤技術を開発することを第一の目的とするため、活性型Rasに特異的に結合するリガンドの同定が必須である。 これまでに、少なくとも8種類のRasタンパク質結合低分子化合物候補を得ており、これらのリガンド候補をビオチンで標識し、in vitro pull-down assayを行い実際にRasタンパク質に結合する活性があるかどうかを検証した。その結果、2種類の化合物は実際に細胞内でRasタンパク質に結合することが確認できたため、これらの化合物とベスタチンのハイブリッドSNIPER (Ras)を合成した。しかしながら、これらの化合物由来のSNIPER (Ras)は細胞に作用させてもRasタンパク質を分解する活性を発揮しなかった。 一方、活性化型Rasに特異的に結合するリガンドをスクリーニングすることに平行して、Rasタンパク質が実際にSNIPERによってユビキチン化され、プロテアソームによる分解に導く事が可能かどうかを検証するためのシステムを構築中である。本検証システムは、発現ベクターによってタグ付きのRasを培養細胞に発現させて、そのタグに対する特異的リガンドを用いたプロテインノックダウンを行い、発現させたRasを分解に導くというものである。本検証システムによって、Rasに対するプロテインノックダウンの効果を事前に予測することが可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
同定したRasタンパク質結合低分子化合物(リガンド候補)を用いて合成したSNIPER (Ras)がRasタンパク質を分解する活性を有していなかったため、リガンド候補の探索に立ち戻らなくてはならない。また、複数のリガンドスクリーニングの系を計画していたが、系の立ち上げ自体に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究計画通り、リガンドのスクリーニング、リガンドとベスタチンのハイブリッド(SNIPER)の作製、および作製したSNIPERの活性の評価、分子構造のチューニングを行う予定である。 また、Rasに対するプロテインノックダウンの効果を事前に予測するシステムが立ち上がり次第、本システムによる検証を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度末に参加した学会の旅費の支払いを26年度にまわしたため。 25年度末に参加した学会の旅費の支払いに充てる。
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